相続でお悩みのかたへ / 評価額の計算方式について
相続でお悩みのかたへ / 評価額の計算方式について ポイント解説
相続税の申請に用いる財産の評価は、国税庁の財産評価基本通達に従って行います。相場や時価ではありません。
財産評価基本通達は国税庁のホームページで確認できますが、その解釈や判断は複雑で、正しく従うには専門知識が必要です。
よって、正式な申告に際しては専門家への依頼をおすすめしますが、自分で大まかにでも把握しておきたいという方のために、財産評価基本通達の中から、主なものをご紹介いたします。
国税庁/財務評価
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka/01.htm
1. 土地の評価
土地の評価では、以下の2つの方式が使われます。
[ 土地の評価方式 ]
路線価方式 | 倍率方式 | |
---|---|---|
対象 | 市街地など、路線価が定められている地域 | 郊外など、路線価が定められていない地域 |
評価基準 | 毎年各国税局が作成する路線価図(道路に面する標準的な宅地 1平方メートル当たりの価額を示した図) | 固定資産税評価額と地域ごとの評価倍率表 |
算式 | 正面路線価×奥行価格補正率(※)×面積 | 固定資産税評価額×倍率 |
※奥行価格補正率
土地の形状等に応じた各種補正を行う際の数字。
間口や奥行き、地形など、利用しにくい土地は評価額が低くなるように、2つの道路に面する角地など、条件の良い土地は評価額が高くなるように補正する。
なお、土地の利用方法によっても評価額が変わります。
[ 利用方法による土地の評価 ]
- 借地 (上記方式のどちらかの算出による)評価額 × 借地権割合
- 貸地 (上記方式のどちらかの算出による)評価額 × ( 1 - 借地権割合 )
- 土地所有者の貸家が建っている土地(貸家建付地)
(上記方式のどちらかの算出による)評価額 × ( 1 - 借地権割合 × 30% )
※大阪国税局管内の一部については40%
2. 建物(家屋)の評価
[ 家屋の評価 ]
- 自用家屋 固定資産税評価額 × 1.0
- 借家 自用家屋の価格 × ( 1 - 30% )
※大阪国税局管内の一部については40%
3. 生命保険金の評価
[ 生命保険金の評価 ]
受取金額 - 非課税枠( 500万円 × 法定相続人の数 )
4. 退職手当金の評価
[ 退職手当金の評価 ]
受取金額 - 非課税枠( 500万円 × 法定相続人の数 )
※弔慰金の非課税枠
業務上の死亡の場合 : 死亡時の普通給与の3年分相当額
業務上以外の死亡の場合 : 死亡時の普通給与の6か月分相当額
5. 上場株式の評価
以下の3つのうち、もっとも低い金額となります。
[ 上場株式の評価 ]
- 相続開始の日の最終価格の平均額
- 相続開始の月の前月の毎日の最終価格の平均額
- 相続開始の月の前々月の毎日の最終価格の平均額
6. その他の評価
[ その他の評価 ]
・ 預貯金 | …… | 元金 + 解約利子の手取額 |
・ 利付公社債 | …… | 発行価額(上場されているものは、最終価格と平均値の低い方) + 既経過利子の手取額 |
・ 割引公社債 | …… | 上場公社債 課税時期の最終価格 その他 発行価額+既経過償還差益の額 |
・ 貸付信託 | …… | 元金 + 既経過収益額 - 源泉所得税相当額 - 買取割引料 |
・ 証券投資信託 | …… | 上場されているものは上場株式の評価に準ず それ以外は解約請求金額 |
・ ゴルフ会員権 | …… | 取引相場×0.7 |
・ 書画・骨董品 | …… | 専門家による鑑定価額 |
財務評価基本通達は、全8章、215項目に渡ります。
その中から、多くの方が関係しうる主な項目を簡単にご紹介しましたが、判断や解釈に迷うものだけでなく、特例が設けられているケースもあり、専門知識が必要です。
相続税の評価額についてご案内いたしましたが、ご不明な点・ご相談等がございましたら、お気軽に吉澤会計事務所までお問い合わせください。
税理士法人吉澤会計事務所
長野県松本市蟻ケ崎1-3-6
TEL 0263-32-6064
[email protected]
1. 土地の評価
2. 建物の評価
3. 生命保険金の評価
4. 退職手当金の評価
5. 上場株式の評価
6. その他の評価
では、ひとつずつ解説していきましょう。