各種税金でお困りの方へ / 消費税の軽減について
各種税金でお困りの方へ / 消費税の軽減について ポイント解説
1. 消費税の納税義務が発生する要件
事業者は、法人・個人ともに、一定の要件を満たした場合、消費税を申告して納税する義務があります。
一定の要件とは、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていること、です。
基準期間は、法人か個人事業者かによって異なります。
[ 消費税納税義務の基準期間 ]
個人事業者 | その年の前々年度 |
法人 | その事業年度の前々事業年度 |
この基準期間と課税期間の関係が、決算月等によってはわかりにくいようです。
図にしましたので、参考にしてください。
[ 消費税の基準期間と課税期間の関係 ]
【個人事業主の場合】
12月31日の決算となるため、前々年の課税売上高で決まる。
2013年に課税対象となる場合は、2014年の3/31までに申告・納税する。
【法人の場合】
決算を基準に、前々事業年度の課税売上高で決まる。
2013年に課税対象となる場合は、2014年の課税期間終了日の翌日から2か月以内に申告・納税する。
なお、平成23年6月の消費税法の一部改正により『課税期間の前年および前年度の6か月間(特定期間)の課税売上高が1,000万円を超えた場合、課税事業者となる』要件が追加されました。
平成25年1月1日以降に開始する年または事業年度からの適用となっています。
[ 平成25年からの事業者免税点制度 ]
【平成24年までの事業者免税点制度】
【平成25年からの事業者免税点制度】
2. 納税額の計算方法
要件と基準期間により消費税の課税対象かどうかがわかったら、心配になるのは実際の消費税納税額ですね。
課税売上高1,000万円を超えた場合から消費税の納税義務が発生するわけですが、納税経験がない場合、1,000万円売り上げたらその消費税分である50万円を納税しなくてはならないと考える方が多いようですが、実は違います。
わかりやすく、小さい単位で考えてみましょう。
[ 消費税納税額の考え方 ]
よく「免税業者は消費税を徴収してはいけないのでしょうか?」といったご相談をいただきますが、この考え方を把握していただくとわかるように、そんなことはありません。
仕入れや経費の消費税を差し引いて納税額を決定するわけですから、たとえ免税業者であっても、仕入れや経費に消費税が発生している場合、売上にも消費税を課税すべきなのです。
これは商品1つでの計算ですが、売上全体にも同様の考え方に基づいて納税額を算出します。
消費税の納税額の計算は、以下の通りです。
[ 消費税額の計算方法 ]
つまり、1,000万円の売上において、その仕入れや経費として500万円の支払いがあった場合は、以下の計算になります。
( 売上1,000万円 - 仕入500万円 ) × 5%(消費税率) = 25万円
また、地方消費税の納付説額は消費税納付額の25%です。
納税の際は、消費税と地方消費税の合計額を納税します。
なお、『消費税簡易課税制度選択届出書』を提出することにより、翌課税期間以後の課税について、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の場合は、簡易課税制度の特例が受けられます。
簡易課税制度における消費税の計算は以下の通りです。
課税売上高(税抜) × 4% - 課税仕入高(税込) × 4/105
期間中に支払った所得税の課税対象とされる給与等の合計額での算出方法もあります。詳細はお問い合わせください。
3. 消費税の納税免税対象
消費税の納税義務が発生する要件と計算方法についてお伝えしましたが、消費税は納税義務免除の特例が設けられています。
以下の要件に該当する場合は免除対象となり、納税義務はありません。
2年前(および前年度の開始からの6か月間)の売上が1,000万円以下
いままで解説してきましたように、課税対象となる要件は、2年前および2年度前の基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていることです。
平成25年からの追加となった、前年および前年度の6か月の特定期間の課税売上高が1,000万円を超えていることも要件となります。
よって、基準期間と特定期間の課税売上高が1,000万円未満であれば、免除対象となります。
起業して2年以内
基準期間に該当する売上がないため、免除対象となります。
ただし、特定期間(前年および前年度の開始日から6か月間)の課税売上高が1,000万円を超えた場合は、翌年は課税対象となります。
また、資本金が1,000万円以上である法人は、免除対象となりません。
起業して2年以内
個人事業から法人化して2年以内
同じ人材、同じ事業内容で法人化した場合でも別々の事業者と捉えるため、個人事業から法人への変更であっても、法人化してから2年間は『起業して2年以内』と同様の扱いとなり、免除対象となります。
これにより、個人事業を2年間行ったあとで、資本金1,000円未満の法人を設立した場合、合計で4年間の消費税免除が受けられることになります。
4. 消費税を軽減するために
これらの納税義務免除の特例を踏まえた消費税の軽減対策として、個人事業の場合は資本金1,000万円未満の会社を設立したり、法人の場合は同様の新会社を設立したり、ということが考えられます。
しかし、必ずしも免税事業者となることがベストだとは限りません。
免税事業者は、消費税の納税義務を免除されます。その代わりに、還付もされないからです。
消費税は、売上で預かった消費税額から、仕入れ経費で支払った消費税額を差し引いて納税額を算出します。
社屋を建設したり、機械を購入したりといった大きな設備投資をした際は、支払う額が大きく、当然、支払う消費税の額も大きくなります。
この場合、売上で預かった消費税額よりも支払った消費税額の方が大きくなるというケースが発生しますが、引ききれなかった分の消費税は還付されるのです。
つまり、免税事業者であることが不利になるケースがあるということです。
なお、免税事業者となった場合でも、税務署に『消費税課税事業者選択届出書』を提出することで、課税事業者になることを選択できます。
この届出書は、課税事業者となろうとする年の前年末および前年度末まで(※)に提出する必要があります。
※新規開業の場合、個人は開業年の年末、法人は事業年度末まで
ただし、消費税課税事業者選択届出書を提出して課税事業者となった場合、2年間は免税事業者に戻れません。良く検討して決断する必要があります。
消費税の軽減についてご案内いたしましたが、ご不明な点・ご相談等がございましたら、お気軽に吉澤会計事務所までお問い合わせください。
税理士法人吉澤会計事務所
長野県松本市蟻ケ崎1-3-6
TEL 0263-32-6064
[email protected]
1. 消費税の納税義務が発生する要件
2. 納税額の計算方法
3. 消費税の納税免税対象
4. 消費税を軽減するために
では、ひとつずつ解説していきましょう。