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起業を検討されているかたへ / 個人事業と会社設立について

「立派な社会人になったのね!」って、久々に会った叔母に言われました。 先生、社会人って、何なのでしょうか……。
おや、嬉しくないのですか? 社会人を辞書で調べると『実社会で働いている人』という解説になっていますよ。
働いていれば、それで立派なのでしょうか? そうならば、サラリーマンはみんな立派な社会人ということですよね。
おやおや。それは違います。 実社会で働く人 = サラリーマン とは限らないんですよ。
そうなのですか!? サラリーマン以外の選択肢なんて、知りませんでした。
いろいろな選択肢がありますよ。イメージしやすいものは『起業』でしょうか。 お店を開いたり、会社に所属せずに自分の能力を活かして仕事をしたり。 同じ自分の能力を活かす場合で、会社を立ち上げる人もいますね。
会社を立ち上げても立ち上げなくても、同じ起業なのですか? どのような違いですか? どちらがいいのですか? 教えてください!
では、会社を立ち上げるケースと立ち上げないケースのポイントをまとめてみましょう。
1. 起業を考えたら
2. 個人事業と会社設立のメリット・デメリット
3. 起業に必要な知識

では、ひとつずつ解説していきましょう。 (新人君がさらに“立派な社会人”になるための参考になりますように……)

起業を検討されているかたへ / 個人事業と会社設立について ポイント解説

1. 起業を考えたら

起業したいと考えたとき、最初の検討事項は、事業形態ではないでしょうか。
起業の際の事業形態は、大きく分けると2つあります。
ひとつは個人事業というスタイル。もうひとつは会社を設立するスタイルです。

起業する人の多くは初めてですから、できれば詳しい人にアドバイスをもらいたいものです。
周りに起業経験者がいる場合は、その方に教えてもらうのが良いでしょう。
しかし、経験者がおらず、誰に相談していいのかわからないという方もいらっしゃることと思います。
起業の形態だけでなく、自分が起業しようとしているビジネスは成り立つのか、資金繰りは大丈夫か、そもそも起業とはどうやってやるものなのか。さまざまな疑問や不安があふれてくるものです。

2. 個人事業と会社設立のメリット・デメリット

個人事業と会社設立という起業の2大スタイルについて、検討してみましょう。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、それらを把握した上で、自分に合ったものを選択することが大切です。
以下に、選択の参考になる項目をまとめてみましょう。

[ 個人事業と会社設立との比較 ]

  個人事業 会社設立
責任 事実上、責任や債務は無限。
ビジネス上の失敗による債務も、全財産をかけて償う。
有限責任のため、出資者は出資の範囲でのみ責任を問われる(出資額が100万円の場合、最大でも100万円の責任)。
理論上は、個人の全財産をかけて償う必要はない。
決算日 12月31日。
自分の設定・変更は不可。
自由に決算日を設定できる。
繁忙期を避けるといった融通が可能。
信用力 企業によっては『法人でないと取引できない』と定められている場合があり、個人事業では取引自体ができないことも。 公的に存在を証明する書類を取得することができ、信用度は高くなる。
金融機関等からの融資を受けやすくなる、事務所等をやりやすくなるというメリットも。
税金 所得税(5~40%)、住民税、事業税として、最大で利益の約50%
※赤字の場合には住民税の均等割りのみ
法人税(22%または30%)、法人住民税、法人事業税として、最大で利益の約40%
※赤字の場合には住民税の均等割り(資本金による)のみ。また、別途個人で所得税の納税が必要
退職金 支払い不可。
ただし、掛け金は全額所得控除となり、受け取り方法によっては退職金扱いとなる小規模企業共済がある。
支払い可能。
退職金は所得税・住民税の負担が軽減されている。(例 設立30年後の退職金支給の場合、1,500万円までは無税)。
消費税 原則、起業から2年間免除。 原則、資本金が1,000万円未満であれば、設立後2年間免除。
赤字繰越 青色申告の場合、3年間繰り越し可能。 青色申告の場合、7年間繰り越し可能。また、減価償却費の計上も任意に行える。
設立費用
※株式会社との比較
個人事業の開業届出・廃業届出等手続(無料)等。
従業員を雇う場合など、ほかの届け出が必要なケースあり。
資本金、款の認証費用(約91,000円。電子公証でも約52,000円)、登録免許税(合同会社6万円、株式会社15万円)等。
申請には手間も費用もかかる。
事務処理
確定申告
自分で確定申告が可能。 複式簿記での会計処理が必要。確定申告は自分でも可能だが、手間と時間と知識が必要。
労働保険・社会保険といった事務処理の負担も増える。
維持費用 特になし。 利益がなくても住民税の均等割りとして最低7万円の納税が必要。
また、登記が必要で、変更があった際にはその都度登録免許税がかかる。株式会社ならば、選択により最長10年に一度は役員変更登記が必要。
役員報酬 役員報酬や給料として支払うことはできない。
事業主貸・事業主借の科目で自由に利用できる。
年に1度の定時株主総会での変更が必要となるため、自由に変更したり、賞与を支給することはできない。

この中からいくつかピックアップして説明します。

信用力

個人事業から法人化する大きな理由として、信用力の違いが原因となるケースがあげられます。
大きな会社ほど「法人でないと取引できない」という場合が多く、法人化を求められることがあるためです。
そのことからも、(業種等にもよりますが)規模の大きな仕事をしたければ法人化しておいた方が有利ともいえます。

税金

個人事業の場合は、個人と事業との区別がありませんが、法人の場合は、会社にかかる法人税・法人事業税・法人住民税と法人事業税のほか、個人の所得に対して課せられる所得税・住民税が別途必要です。
よって、個人事業と1人会社の税金を比較すると、以下のようになります。

所得税・住民税・事業税 VS 法人税・法人事業税・法人住民税・所得税・住民税

税金は累進課税制のため、売上が少ない場合は個人事業の方が納税額は少なくなります。
おおよそ年間利益800万円以上からは、法人の方が有利といわれています。

消費税

どちらも基本的には開始から2年間は免除となりますので、差はありません。
しかし、個人事業からタイミングよく法人に切り替えることで、最大4年の消費税免除が可能です。

このように、それぞれに違ったメリットがありますので、どちらを選択するかはひとそれぞれです。
事業計画、資金計画を立てた上で、将来を見据えた最良の選択をしましょう。

3. 起業に必要な知識

どちらの形態での起業においても、さまざまな能力や知識が必要です。
会社では、顧客獲得は営業部、給与計算は人事部、外部への支払処理は経理部といったように、業務を分担しており、その中で自分の仕事を行っています。

営業力抜群! 独立してフリーの営業マンになりたいけれど、事業計画や資金計画がまったくわからない。
技術者として働いてきたので、経理の知識も経験もなし。複式簿記がどういうものかわからないし、そもそも記帳ができない。
デザイナーでデザインは得意ですが、起業後に事業主として仕事(デザイン)以外にどんなことをすべきなのかわからない。

起業の形態を決めたら、あとは開業に向けて進めるだけです。

  • 法人設立までの流れや費用について知りたい
  • 起業に役立つ助成金を教えてほしい
  • 融資を受けるにはどうしたらよいか、サポートしてもらえるのか

個人事業と会社設立のポイントについてご案内いたしましたが、ご不明な点・ご相談等がございましたら、お気軽に吉澤会計事務所までお問い合わせください。

税理士法人吉澤会計事務所
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